バービーロールモデルインタビューサイト
起業家
ママだって、「You Can Be Anything(何にだってなれる)」
堀江 愛利
Ari Horie子どもたちの気持ちを聞く「ごっこ遊び」
私には2人の子どもがいますが、ごっこ遊び、つまりロールプレイは、子どもの発達において大切だと思います。親はつい気づかないうちに、自分の失敗経験や成功するための方法を、愛情で子どもに押し付けてしまうことがあると思うんです。でもロールプレイは、子どもの頭の中にあるものを、自由に表現できる場。保護者は、子どもたちの表現から好きなことややりたいことを知り、サポートしてあげられるきっかけにもなります。まさに、子どもの気持ちを聞くことができるコミュニケーションですよね。
テクノロジーが進化した今、子どもたちが見ることのできる世界はより広くなっていますが、子どもの表現の幅を広げるという意味でも、ドールで多様性を表現しているバービーの取り組みは素晴らしいと思います。
助けてもらった分、自分も誰かを助けたい
私は母子家庭で育ったのですが、時には我慢しなければならないこともあったので、「大人になったら欲しいもの全部手に入れてやる!」という気持ちが、幼い頃から芽生えていました。
高校生の頃は、アメリカへ1年間留学していましたが、言葉が通じないところに行くと、頑張ってもできないこと、認められないことの連続でした。その悔しさの中で、頑張り方を工夫することやチャレンジ精神を学びました。また留学中に、周囲のあらゆる方々が助けてくれたことも印象的で、その人にとっては些細なことであったかもしれませんが、私にとっては大きなサポートを得る経験を多くしました。その優しさとエネルギッシュさに魅了され、「助けてもらった分、自分も誰かに返したい」と思うようになりました。そして再び渡米する際にも「絶対、日本に貢献できる形で帰ってくる!」と決心したのを覚えています。
子育てを通して、母親も学び続ける
息子が15歳のころ、私のクローゼットから女性用のブラウスを選んで登校したことがありました。からかわれるのではないか、と最初は不安に思い「お母さんは少し心配なんだけど、大丈夫?」と声をかけたところ、息子は何ともない顔で「僕が女性用の洋服を着たってみんな全然気にしてないよ」と。今の時代、子どもたちもLGBTQなどについて日々学んでいて、大人が想像している以上にしっかりしているんですね。親も人間なので、子どもの言動に驚くこともあります。でも、頭ごなしに否定せず、せっかくなので「私の気持ちも聞いてもらおう」という姿勢で対話するようにしています。親子で一緒に学ぶ機会としてとらえられるといいですよね。
世間が理想とする”母親像”を目指さなくていい、自分の価値観を信じて
昔から「頑張ればなんとかなる!」という精神で生きてきましたが、子育てをする中で「全部全力で頑張るのは難しいかも…」と心が折れそうになる時期がありました。そこでふと、自分はどんな親でいたいかを考えた時、「とにかく楽しい母だった」とか「いつも頑張っていた」という2つを子どもに覚えていてほしいと思ったんです。それ以来、”世間の理想”に向かって頑張る事なく、自分の価値観を信じる子供と付き合うことにしました。少しだらしないママがいてもいいし、料理は苦手だけど友達がたくさんいるママ、とにかく楽しいママがいてもいい。私も起業家として失敗や悔しい出来事もたくさんありますが、子どもに取り組む自分の姿勢や考え方を話すようにしています。その会話を通して、頑張り方や工夫の仕方を学んでくれたら嬉しいです。
理想の社会をつくる”起業家”という職業
バービーの掲げる「You Can Be Anything(何にだってなれる)」は、単に職業だけでなく、「どこにだって住める」「何だってつくりだせる」ということでもありますよね。まさに起業家は「理想とする社会を自分でつくる」職業なので、非常に共感するメッセージです。
知識や技術は、習得自体が最重要なのではなく、学ぶことによってもっと楽しいことができるようになる、創れるようになるという、可能性を広げるために必要なものだと考えています。「勉強しなきゃ」だけではなくて「これを勉強したら、何ができるようになるかな」という、その先の未来に対してワクワクする目線があるといいなと思いますね。
起業家
堀江 愛利
広島県出身。米国IBMを経て、数々のスタートアップでのキャリアをもとに、2013年にシリコンバレー初、女性に特化したアクセラレター”Women’s Startup Lab”を創業。世界中から集まる女性起業家の育成やベンチャー支援を行う。個人のマインドセット変革や確固なる現地のネットワークによる独自の育成プログラムで注目を集める。近年はイノベーション加速を目指す企業のリーダー育成にも多く携わり、参加者から高評価を得る。CNNのビジョナリーウーマン10名、2020年10月には、Entrepreneur Magazine “100 Powerful Women of 2020”に選出など、数々の賞を受賞。2019年に、さらなる女性活躍を推進するための環境整備を目指す、非営利団体「Women’s Startup Lab Impact Foundation」を設立。2022年3月に、その初の海外支店となる「一般社団法人Women’s Startup Lab Impact Foundation Japan」を自身の母国である日本に設立。更なる活躍と社会への貢献が期待される。
Women’s Startup Lab Women’s Startup Lab
"Make an IMPACT" | Ari Horie | SXSW V2V 2014 (日本語字幕付き)